徒然なるままに

苦しい事も辛い事もあるけどさ、やっぱり人生って楽しんだもの勝ちなのよ!!

disることは一番の愛情表現である

昨日77歳の祖母の帯同で、純烈のライブに行ってきた。

個人的には紅白に出てる、銭湯で公演を行い、60歳くらいのファンを数多く喜ばせているというイメージしかなかった。

 

さらには、日々イケてる洋楽やJ-popを聞いてる私には「ムード歌謡」という謎の音楽ジャンルを受け止めることができるか不安でさえあった。

 

ちょうど寝不足ということもあり、公演中に少し睡眠でも取ろうと思っていた私だが、まんまとその気分を覆された。

 

イメージ的には、ゆるいダンスを踊りながら昭和の歌謡曲を歌って終わりという、イメージを抱いていたのだが、とにかくマイクパフォーマンスがうまい。

 

軽快な関西弁と共に、よくある日常の話にちょうど良い毒を交えながら喋り倒す。

彼らは、ここは国際フォーラムではなく草加の銭湯だと言っていたが、まさに会場の雰囲気は銭湯そのものだった。

 

そう、圧倒的に距離が近いのだ。

だいたいその日の収容人数は1500人くらいだったのだが1階席2階席だけではなく3階席までも彼らは丁寧にファンサービスをしてくれる。

 

特に印象的だったのは、高年齢のおばさまいじりが半端ない。

 

もう墓に入れとか、あなたの財布を狙ってますとか、とにかくファンへのdisりが半端ないのだ。しかし、会場は冷めることなく、むしろ大盛り上がりなのである。

個人的にはすごく不思議な経験だった。

 

私が直近で見てきた安室奈美恵や三代目JSBではありえない光景である。

 

一般的にライブとは、パフォーマーと観客の立場が明確で、完成度の高い演出や歌やダンスを見ながら神様みたいなアイドルを崇めるようなスタイルを想像するのだが、彼らのパフォーマンスは双方向のコミュニケーションそのものなのである。

 

片っ端からファンにツッコミを入れまくり、自分たちをdisりまくり、いわば昔流行ったきみまろ的コミュニケーションをとるのだ。

 

きっとこれは、若い層の20代30代にやったら、プライドが高いのでなんで、こんなじじいにこんなこと言われなきゃならないんだとなるが、メインターゲットは育児が落ち着き、生きる希望を失いかけているパワーがあり余った60代以上のおばさま達である。

 

人生の酸いもあまいも知り尽くした彼女達にとっては、そんなコミュニケーションが心地いいのか。

むしろ20代の私でさえも、そのdisりを通して彼らとファンの間の愛情をすごく感じた。

 

このことを通勤の電車で考えていたところパッと「AKBの指原」が思い浮かんだ。

彼女もdisりの天才だ。

 

AKBという、そこそこの美少女軍団の中で、不動の一位を確率している彼女は、最近は、突貫工事で美を追求しているが、デビュー当初やあの事件があったときは、お世辞にも美少女とは言えなかった。しかし、彼女は類を見ないAKB総選挙3冠を達成し、おそらく今でもAKBグループの生きるレジェンドとして、その地位を確立しているのではないか。

 

一時期、中国の富裕層が彼女の大ファンでCDを買いまくっているという噂が2ちゃんねるで流れたが、それにしたって限度がある。

 

彼女のバラエティー出演を見ていると、彼女もdisりの天才だと思う節が幾度かある。

 

そうだ、よくよく考えてみれば、スナックのママだって、MCとして大成功を収めているさんまさんだってみんなdisりの天才なのだ。

 

ちょっと顔が整ってて、歌のうまい普通おじさん達が、普通に歌を歌っても何も面白くない。

 

近い距離で触れることができて、でもステージではかっこよくて、歌もうまい。そんな彼らのスタイルに多くのおばさま達は夢中になっているのだ。

 

そして、2009年にデビューした彼らも10年目にしてやっと紅白に出れた。

 

気になって昨日の夜に純烈のことを色々調べて見たら、売れない時代も「依頼があったらとにかくその仕事をやる切る。ただそれだけを徹底してきた」と言っていた。

 

小さいワゴン一つに中年のおじさん達が缶詰のように詰め込まれ、全国津々浦々の銭湯を練り歩く。

 

そんなハードな環境下の中、老体に鞭を打ちながらダンスや歌をやり切る彼らを見て、ギリギリ20代の私でさえもファンになりそうになった。

 

やっぱり芸能界はすごく奥が深いし、秋元康は天才だなと思ったそんな経験だった。

 

私も愛の伝わるdisりを習得したいものだ。

 

ちなみに、私はまだまだ綺麗で若くてピチピチの男の子が好きである。

しかし、もう少し彼らの活躍を追ってみたいと思ったそんな経験だった。